その土地は大丈夫?
意外と知らない用途地域とは

土地選びをする際、「用途地域で何がわかるのか」と疑問に思う方もいることでしょう。
実際に現地に出向かずとも、どのような雰囲気の環境であるのかを用途地域で知ることが可能です。

本記事では、用途地域の目的や種類、住みやすさ、調べ方について解説します。
用途地域について理解すれば、土地探しの時間が節約できるなどメリットも多いため、スムーズな家づくりのためにもぜひご覧ください。

意外と知らない用途地域

土地探しをしていると、「用途地域」という聞きなれない言葉が土地情報に出てきます。
土地探しからの家づくりを経験する方でないと、詳しい内容については意外と知らない方も多いでしょう。
ここからは、用途地域を把握することで得られる、家づくりの知識についてお伝えします。

用途地域によっては自分好みの家づくりができない?!

家づくりや土地探しで失敗しないためには、多くの情報が必要です。
その中の一つが用途地域です。
土地に家を建てるときにはさまざまな決まりごとがあり、土地を買っても用途地域の縛りによっては、自分好みの家づくりができなくなる場合もあります。

また、閑静な住宅地がいいのか、商業施設が近く活気のあるエリアがいいのかなど、暮らしのイメージに合う土地を見つけるための指標も用途地域で判断が可能です。

用途地域とは

用途地域とはなにか、何の目的があるのかを解説します。

用途地域とは

用途地域とは、建物の用途や建ぺい率、容積率などを規制する地域を指します。
とくに多くの方が生活するエリアでは、建築に規制をかけないと安全で快適な生活が維持できなくなるためです。

国で定められている都市計画法をもとに、都道府県では土地を以下の3つに分けています。

● 都市計画区域:多くの人がおり、街づくりを進める計画がある
● 都市計画区域外:人が多くなく、街づくりの計画がない
● 準都市計画区域:都市ではないが重要とされるために建築制限がある

都市であるかどうか、そうでなくても将来的にインフラの整備予定があると事前に建築制限がかけられます。
さらに、都市計画区域は以下の3つの区分に分けられます。

● 市街化区域:現在、または10年以内に市街化の計画がある
● 市街化調整区域:市街化への拡大を抑えている
● 非線引区域(ひせんひきくいき):将来的な計画はあるものの保留している

上記のなかで、市街化区域はさらに13種類の地域に分けられます。
これが建築制限のある「用途地域」です。

用途地域の目的とは

用途地域の目的とは、暮らしやすい街づくりのためのものです。
用途地域として建築に制限がなくなってしまった場合、住宅街に商業施設や工場が建つことが可能になるため、静かな暮らしを好む方にとってはストレスになることでしょう。
用途地域としてエリア別に建築制限をかけることでメリハリがつき、人々の生活が安全・快適になります。

知っておくべき用途地域で定められているもの①:建ぺい率

用途地域で制限のかけられる建ぺい率は、敷地面積にどれくらいの建築面積の建物が建てられるかどうかを数値化します。
建築面積とは、空から家を真下に見下ろしたときの面積を指します。
風通しや防災を目的としており、土地と建物にどれくらいの余白があるかを重要視しています。

知っておくべき用途地域で定められているもの②:容積率

用途地域で制限のかけられる容積率は、敷地面積にどのくらいの延べ床面積の建物を建てるかどうかを数値化します。
2階建ての戸建住宅の場合、1階と2階の床面積を足したものが延べ床面積です。
容積率は下水道などのインフラ整備の兼ね合いから、人口を制限する目的があります。

知っておくべき用途地域で定められているもの③:建物の建築制限

用途地域では、建物の高さにも建築制限がかけられる場合があります。
主なものは以下の通りです。

● 絶対高さ制限:原則、10mまたは12m以上ある建物の建築が不可
● 道路斜線制限:道路に面している建物の高さ制限
● 隣地斜線制限:隣地境界線からの距離に応じた建物の高さ制限
● 北側斜線制限:北隣に建物がある場合の高さ制限

用途地域の種類によって細かく制限があります。
高さ制限では、日照問題や風通しの良し悪しを決める上での大切なポイントと言えるでしょう。

用途地域の13種類!

用途地域は大きくわけて住居系・商業系・工業系の3種類から構成されており、全部で13種類に細かく分類されています。
それぞれの特徴や暮らしやすさについて解説します。

1.住宅系:第一種低層住居専用地域

コンビニエンスストアは建てられませんが、学校や床面積50㎡以下の住居兼事務所なら建築可能です。
建てられる高さの建物は10mまたは12mまでのため、圧迫感のなく風通しがよい住宅地のイメージです。
2階建ての戸建住宅が多く、閑静なエリアで暮らしたい方におすすめです。

2.住宅系:第二種低層住居専用地域

建物の高さ制限はあるものの、床面積が150㎡までのコンビニエンスストアや飲食店が建築可能です。
生活に必要な最低限の買い物が可能なため、利便性がほどよい住宅地と言えるでしょう。

3.住宅系:田園住居地域

農業エリアと住宅エリアが混在するエリアです。
田舎で静かに暮らしたい方や農業に携わる方におすすめです。

4.住宅系:第一種中高層住居専用地域

マンションやスーパー、病院などの生活するうえで必要不可欠な施設や店舗が建てられます。
建物の高さ制限はありませんが、店舗に関しては床面積が500㎡までと制限されています。
ある程度静かな住宅地でなおかつ、利便性の高いエリアに住みたい方におすすめです。

5.住宅系:第二種中高層住居専用地域

建物の高さ制限がなく、2階建ての床面積1,500㎡までの店舗も建築可能です。
中規模の商業施設などがあることで暮らしがより便利となり、近場で休日のショッピングも楽しめるでしょう。

6.住宅系:第一種住居地域

駅からほど近く商業施設もあるなど、利便性が高いエリアです。
大規模なマンションも建築可能です。
パチンコ店や風俗店は原則禁止されているため、治安の面でも安心感があります。

7.住宅系:第二種住居地域

床面積1万㎡までの商業施設が建築可能なほか、パチンコ店やカラオケ店も建築可能です。
住みながら遊びも充実させたい方におすすめです。

8.住宅系:準住居地域

国道のほか幹線道路などの大きな道路沿いのエリアが多いです。
車でのアクセスがよく、分譲マンションが多く建ちます。

9.商業系:近隣商業地域

大型の商業施設のほか、小さな工場の建築が可能です。
にぎやかで買い物の便利な生活が好きな方におすすめです。

10.商業系:商業地域

ターミナル駅やオフィス街に多いエリアです。
住居としてはマンションやアパートが目立ちます。
通勤には便利ですが、地価が高い点には注意です。

11.工業系:準工業地域

住宅や学校のほか、軽作業の可能な工場も建築可能です。

12.工業系:工業地域

住宅や工場は建てられますが、学校や病院などは建築不可です。

13.工業系:工業専用地域

住宅や学校、病院などは建てられません。

簡単に調べられる!用途地域の調べ方

住みたい候補の土地が用途地域かどうかは、以下の方法で簡単に調べられます。

自治体の窓口やホームページで調べる

近年、ほとんどの自治体がインターネット上で用途地域を公開しています。
「市町村または都道府県名 用途地域」で検索してみましょう。
インターネットではわかりにくい方は、窓口に出向いて市役所の担当者と一緒に確認することも可能です。

不動産会社で聞いてみる

不動産会社は全国の用途地域のデータベースを所有しています。
土地探しの際には、気軽に聞くことが可能です。

用途地域マップで確認する

用途地域マップでは、国土交通省国土政策局の用途地域データを利用し、マップを作成しています。
手軽に全国の用途地域について調べられますが、最新情報かどうかは自治体に確認することをおすすめします。

土地探しの際に用途地域で
気をつけるべきこと

用途地域として制限がある場合でも、すべてが制限の最大限に建てられるわけではありません。
土地探しの際には、次の項目についてあらかじめ確認しておきましょう。

建ぺい率や容積率の最大限に建てられないことも…

用途地域で家を建てる際はさまざまな制限がありますが、状況によっては建ぺい率や容積率の最大限までに建てられない可能性があります。
たとえば、建ぺい率や容積率よりも、道路斜線や隣地斜線をはじめとする「斜線制限」また「絶対高さ制限」が優先されるなどです。
候補の土地が決まったら、建てたい家が叶うのかを家づくりのプロに相談することが重要です。

まとめ

用途地域とは、建てられる建物の用途や高さ、広さなどを制限したエリアです。
人々の生活をより安全で快適なものにするために取り決められています。
大きくわけて住居系・商業系・工業系の3種類から構成されており、さらに細かく13種類に分類されています。

用途地域について詳しく知りたければ住宅公園へ

「立地はいいけれど、住む環境として自分たちの理想に合うのかわからない」など、住環境について把握するためにも、土地探しの際は用途地域についても知ることが重要です。

住宅公園では、自分好みの家づくりを行えるため、用途地域についてもポイントをしっかり押さえたプランニングが可能です。
家づくりに関する疑問は、プロに気軽に相談できる住宅公園まで、ぜひご来場ください。

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