子どもが伸び伸びと暮らせる家に住みたいなどで新しく戸建てを購入するとき、最初に悩むのが、注文住宅か建売住宅のどっちを選ぶかではないでしょうか。
本記事では、注文住宅と建売住宅それぞれの特徴やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントを解説します。
自分たちにあった家の選び方とはなにか、住んだあとの暮らしをイメージして家族にとって最良の選択をしましょう。
注文住宅と建売住宅の基本的な違い
家を購入する際、注文住宅と建売住宅で迷うときには、まずそれぞれの特徴を把握しておく必要があります。
ここからは、それぞれの大きな違いや、昨今の人気の住宅を解説します。
注文住宅と建売って何が違うの?
注文住宅とは施工会社と建築工事請負契約を結び、施工主の希望に沿った設計の住宅を建てる方法です。
一方、建売住宅とは、不動産会社と売買契約を結び、土地付きの住宅を買う方法を指します。
土地から購入して注文住宅を建てる際、建築条件付きの土地または、建築条件なしの土地に分けられます。
建築条件付きの土地の場合、家づくりを依頼する施工会社が限られます。
建築条件なしの土地であれば、好きな施工会社で家が建てられるため、家づくりの幅が広がるでしょう。
しかし、依頼する施工会社が決まっていない場合は、家づくりにかかる時間が短縮できるほか、土地の購入から施工までがスムーズにおこなえるメリットがあります。
建売住宅はすでに建てられた住宅から、自分の住みたいエリアや建物で購入する住宅を決めるケースが多いでしょう。
なかには、建物が建てられていない状態で販売される住宅もあり、壁紙などの軽微なインテリアを自分好みのスタイルにできるケースもあります。
いずれにせよ、建築基準法や条例に沿った建物であるかを審査するために必要な手続きである「建築確認申請」をおこなったあとで販売されるため、原則間取りなどの変更は不可です。
フラット35で融資をおこなった割合では、2022年度は注文住宅が23,381件(うち16,026件は土地付注文住宅)、一方建売住宅は11,128件でした。
したがって、全体の6割以上が注文住宅で家を建てたということになり、注文住宅の方が人気があると言えるでしょう。
参考:住宅支援機構「フラット35利用者調査」
注文住宅と建売住宅のメリットとデメリット
注文住宅か建売住宅のどっちが自分に合った家かを判断するためには、それぞれのメリット・デメリットを把握する必要があります。
ここからは、具体的な選び方についても合わせて解説します。
注文住宅の良いところと注意点
注文住宅の良いところは次の通りです。
・間取りや設備など自由度が高い
・好きなエリアに家を建てられる
・施工過程をチェックできる
注文住宅は設計の自由度が高く、自分好みの住宅を建てられるメリットがあります。
法律や規制に適合していれば、建築工法や外装、間取り、内装、住宅設備などを多くの選択肢のなかから決められます。
「重厚感ある大人っぽい家にしたい」「自然を感じられる木をふんだんに使った家にしたい」など家のスタイルのほか、「個室は狭くていいから、家族が集まってもゆとりある広さのリビングにしたい」などの希望も叶うでしょう。
建物の自由度が高いため、住みたいエリアの選択肢も広くなります。
駅近で通勤・通学の利便性が高いエリアがよいのか、静かな環境で暮らせる閑静な住宅街が良いのかなど、理想に近い土地に出会える可能性が高くなるでしょう。
施工過程をチェックできるため、建物内部の把握もしやすいです。
一方、注文住宅のデメリットは次の通りです。
・建売住宅に比べて多くの費用がかかる
・入居までに時間がかかる
注文住宅は設計にかかる人件費が必要なほか、建材や設備のグレードを上げるケースも多く、建売住宅に比べて多くの費用がかかります。
フラット35の調査でも、2022年度の所要資金は土地付き注文住宅で4,694万円、建売住宅では3,719万円と、マイホームの取得額に平均として1,000万円近い差が生まれていることがわかります。
参考:住宅支援機構「フラット35利用者調査」
予算の範囲内で施工面積や設備などを決めていき、予算オーバーを防ぐのが注文住宅を建てるときのコツです。
土地探しにかかる期間などによって異なりますが、入居までに1年ほどかかったケースが多いです。
建売の良いところと注意点
建売住宅の良いところは次の通りです。
・住んだあとの暮らしがイメージしやすい
・注文住宅よりも価格が安い
・時間や手間をかけずにマイホームが手に入る
一般的に建売住宅はすでに建てられた建物を内覧できるため、生活動線や家具の配置などをイメージし、住みやすい家なのか判断しやすいのがメリットです。
住宅会社が購入した広い土地を分割する分筆という工程を経てから、建物をまとめて建てることで建築コストを抑えられるため、注文住宅と比べて価格を下げられます。
建物の仕様を決める作業もほとんど必要ないため、売買契約を結んでから入居までの期間が1~3ヶ月と短い期間でマイホームに住みはじめられます。
一方、建売住宅のデメリットは次の通りです。
・間取りや設備などを自由に選べない
・建物の内部をチェックできない
間取りや設備の仕様などはあらかじめ決められているため、すでにある建物から自分に合った家を選ぶ必要があります。
しかし、ライフスタイルや動線が考えられた消費者のニーズに合わせた間取りであったり、デザイン性が高い建物であったりするなど、昨今の建売住宅も選択肢は広いと言えます。
完成している建物を購入する際、建築中にしか見ることのできない基礎や建物内部の施工過程を把握することはできません。
そのため、住宅の不具合が起きたとき、安全性に問題があるのではといった不安点を解消することが難しいと言えるでしょう。
注文住宅と建売住宅の選び方
注文住宅か建売住宅かで迷ったときは、次の注意点を確認しながら判断しましょう。
・住宅取得費が予算内におさまるか
・間取りや設備が自分たちのライフスタイルに合っているか
・入居時期のタイミングは適切か
住宅の購入時には、建物本体のほかに諸費用などが必要です。
入居後にはランニングコストとして光熱費やメンテナンス費用、固定資産税がかかります。
建売住宅の方が取得時の費用を抑えられる傾向があるものの、何十年とかけて必要となるコストについても合わせて考えるとよいでしょう。
注文住宅に比べて建売住宅は間取りの選択肢が限られるため、家族一人ひとりの要望に叶った間取りの実現は難しいでしょう。
たとえば、楽器の演奏が趣味で自宅でも練習したい方や、間取りにこだわりたい方などは注文住宅で建てたほうが希望は叶いやすいです。
将来的に子どもが増えることや2世帯になる可能性など、ライフスタイルの変化に伴う計画がある程度定まっている場合、注文住宅であれば対応しやすいでしょう。
転勤や進学のタイミングで住宅を新たに購入するケースでは、引越しの時期が決まっている場合、取得と入居のタイミングが合うのかも重要です。
どのような家が建てられるかだけではなく、予算や時期などをふくめた計画が必要と言えるでしょう。
最適な選び方
どのような基準で住宅を選ぶのが家族にとってベストな選択となるのかは、住む方の家族構成や趣味、自宅での過ごし方によっても異なります。
住んだ後の暮らしをイメージしながら、考えてみましょう。
家族の幸せを考えるなら
家族の幸せを軸にして、注文住宅か建売住宅かを考えてみましょう。
コストと時間に関しては、建売住宅のほうが優れています。
住宅取得費用を抑えることで、レジャー費などの外で過ごす時間を充実させることが可能です。
入居までの時間や手間も減らせるため、時間のない方や家族と過ごす時間を多く取りたい方にもよいでしょう。
一方、注文住宅では自分たちの住み心地を考えて細部まで設計することができるため、自宅で趣味の時間を楽しめるなど、お家で充実した時間を過ごせるメリットがあります。
家族の楽しみ方が自宅での時間なのか、外での時間なのかによっても選択肢を狭められるでしょう。
注文住宅と建売、どちらが最適?
注文住宅を選ぶ方は、建売住宅を選んだ方よりも家族の年齢や年収が高く、入居人数が少ない傾向です。
まだ子どもが小さかったりこれから増える予定があったりと、子育てにかかる費用の捻出が今後予想される場合、住宅ローンの支払いが負担にならない範囲内で家を購入する必要があります。
子育て中のファミリーにとって最適なのは、今後かかる予定の教育費などとのバランスがとれた住宅であると言えるでしょう。
まとめ
注文住宅は施工主の希望に沿った家を建てられるため、自由度が高い家づくりを実現できる反面、多くの費用が必要なほか入居までに時間がかかります。
一方、建売住宅は、土地付きのすでに決まった仕様の住宅を購入するため、好みの間取りなどはできないものの、購入費用を抑えられたり入居までの時間を短くできたりします。
家づくりの自由度のほかにも予算や家族構成、ライフスタイルによってどっちが適しているかは異なります。
注文住宅か建売住宅かどっちかで迷ったときには、家族にとっての幸せとは何か、トータルで考える必要があると言えるでしょう。