住宅ローン控除は、家計の負担が軽くなる減税制度です。
「いつまで減税されるのか」、「どれくらいの税金が戻って来るのか」と具体的なメリットについて疑問に思う方もいることでしょう。
本記事では、住宅ローン控除とはなにか、減税を受けられる要件や期間、控除額の計算方法について解説します。
2022年におこなわれた税制改正では、減税される期間などがこれまでと異なります。
これから家づくりをはじめるなら、最新の情報を把握し、優遇制度をかしこく活用しましょう。
住宅ローン控除とは何か
住宅ローン控除について知るためには、まず基礎知識から理解を深めるとよいでしょう。
ここでは、住宅ローンの基本的な仕組みや、住宅ローン控除のメリットについてお伝えします。
住宅ローンの基本的な仕組み
住宅ローンとは、取得した物件を担保にして金融機関が貸付をおこなう商品を指します。
金融機関が独自に提供する住宅ローンのほか、住宅支援機構と民間の金融機関で提供している「フラット35」などがあります。
なお、取得した物件は契約者自身で住む必要があり、人に貸す場合やセカンドハウスの場合は基本的に適用されません。
契約後、借入をした住宅の取得者は、金利を含めた返済金を毎月支払います。
一般的なローンに比べて優遇された金利となっているため、長期間にわたり安定した収入が見込める契約者であることが必然的な条件となっています。
住宅ローン控除とは何か
住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、税負担が軽減される制度です。
働き方次第で税金が減税される仕組みが異なります。
- ・会社員などの給与所得者:納めた税金が一定額還付される
- ・個人事業主:確定申告時に支払う税金が安くなる
会社員の場合は通常、毎月の給与から税金が少しずつ引かれていきますが、物件を取得した際に住宅ローン控除を受けることで所得税が安くなるため、納め過ぎた分が還付される仕組みです。
このときに控除しきれなかった分は、翌年の住民税で控除されます。
還付を受けるためには、取得者が確定申告や年末調整時に申請しなければなりません。
住宅ローン控除によるメリット
住宅ローン控除を申請することで、納めなければいけない税金が減額され、家計にかかる負担が減ります。
還付される期間は10年間、または13年間となり、最大で455万円もの税金が戻ることもあるでしょう。
消費税の増税などの社会的背景からおこなわれる税制改正では、控除を受けられる期間や控除額が変更されます。
しかし、低金利で住宅ローンを借りられる昨今では、控除期間後に繰り上げ返済をするなどかしこく活用することで、支払う金利分よりも還付金のほうが多くなることもありえるでしょう。
控除を受けるための手続き
住宅ローン控除を受けるための要件や、いつまで受けられるかの期間など、手続きする際に必要な事柄についてまとめました。
住宅ローン控除を利用するための要件
住宅ローン控除は新築住宅や中古住宅の取得者に限らず、リフォームを含めた増改築をおこなった場合にも適用されます。
物件によって要件が異なるため、それぞれご紹介します。
〈新築物件の要件〉
新築物件においては、以下の要件をすべて満たした場合、住宅ローン控除が受けられます。
- ・取得者自身が住んでいる
- ・新築取得日から6カ月以内に居住している
- ・控除を受ける年の12月31日まで居住している
- ・住宅ローンを組んだ方の所得の合計が3,000万円以下である
- ・住宅ローンの返済期間が10年以上である
- ・物件の床面積が50㎡以上である
- ・床面積の半分以上が取得者の居住スペースである
なお、2023年中に建築確認が完了している場合のみ、床面積が40㎡以上でも控除の申請が可能です。
〈中古物件の要件〉
中古物件においては、新築物件の要件に加えて以下の項目のいずれかをクリアした場合、申請が可能です。
- ・建築された日から20年以内(耐火建築物は25年以内)である
- ・新耐震基準を満たしている
〈増改築物件の要件〉
増改築物件においては、新築物件の要件に加えて以下の項目のすべてをクリアした場合、申請が可能です。
- ・工事費用の総額が100万円以上
- ・かかった費用の2分の1以上が自身の居住用工事に使われている
住宅ローン控除が受けられる期間
2025年までに申請することで住宅ローン控除が受けられますが、控除される期間は物件によって異なります。
・新築住宅や買取再販(不動産業者が増改築等した居住用物件):「13年間」
・中古物件:「10年間」
このように、最大で13年間にわたり減税されます。
なお、新築住宅でも2024年以降に入居する場合、「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」を除く一般住宅においては、控除期間は10年です。
これから一般住宅を建てる場合は控除される期間が短くなるため、総額の還付金が大幅に変わってくるでしょう。
住宅ローン控除の計算方法
住宅ローン控除額の計算方法は、「年末時点の借入残高×0.7%」です。
たとえば、年末時点に3,000万円の借入残高があった場合の年間の住宅ローン控除額は、3,000万円×0.7%=21万円です。
この21万円の控除額は所得税から控除されたのちに、所得税の課税所得の5%または、97,500円を限度に住民税から控除されます。
しかし、住宅性能や入居した時期によって、控除が適用される限度額は異なります。
2022年から2023年入居 | 2024年から2025年入居 | ||
新築住宅・買取再販 | 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | |
上記以外の住宅 | 3,000万円 | 0円 (建築確認が2024年以降の場合) | |
中古住宅 | 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 3,000万円 |
上記以外の住宅(増改築含む) | 2,000万円 | 2,000万円 |
たとえば、省エネ基準適合住宅を5,000万円の住宅ローンで建てた場合、4,000万円×0.7%=28万円が控除されます。
年々控除額は減少していくものの、13年間減税されるとなると控除額の合計は300万円ほどになるでしょう。
またこの控除額は、上限のため必ずしもすべてが戻ってくるわけではありません。
納税額が住宅ローン控除額より下回る場合や、所得などによって実際に減税される額は異なります。
住宅ローン控除の申請方法
初年度は確定申告での住宅ローン控除の申請が必要です。
通常、会社で年末調整をおこなう会社員の方も同様です。
物件に入居した翌年が初年度に確定申告する時期となり、例年2月中旬から3月中旬が申請期間となります。
確定申告時には、確定申告書や源泉徴収票のほか、登記事項証明書など複数の書類が必要になるため、準備しておく書類が揃っているかどうかを早めに確認しておくと安心です。
2年目以降は、会社員の方は会社でおこなう年末調整時に、税務署から郵送される「住宅借入金等控除証明書」や金融機関から郵送される「年末残高等証明書」を会社に提出することで住宅ローン控除を受けられます。
ただし、年収が2,000万円以上の方や副収入が年間20万円超える方などは、通常どおりに確定申告が必要です。
個人事業主の場合は、「年末残高等証明書」と住宅借入金等控除証明書をもとに記載した「計算明細書」を添えて初年度と同様に確定申告をします。
なお、確定申告は管轄の税務署に必要書類を提出するほか、時間外収受箱への投函、郵送、電子申請(e-tax)での申請も可能です。
住宅ローン控除を利用する時のポイント
住宅ローン控除を利用する際には、注意するべきポイントがあります。
利用する際に注意したいこと
2025年末までに取得した物件に入居することで住宅ローン控除は受けられます。
しかし、とくに注文住宅の場合は建ててから入居するまでに時間がかかるため、余裕をもったスケジュール管理が大切です。
住宅ローン減税をおこなう場合、ほかの特例制度と併用できないケースもあります。
「買い替え特例」などを活用した場合は、住宅ローン減税が適応されるかどうかを事前に確認しておきましょう。
また、ふるさと納税を併用した確定申告時にも注意が必要です。
住宅ローン控除同様、ふるさと納税も所得税の還付や住民税の控除を目的としているため、それぞれの控除額が高いと控除の上限にかかり、超過した分が控除しきれないことがあります。
ワンストップ特例制度を用いれば翌年の住民税から全額控除されるので、年末調整時にはぜひ活用しましょう。
住宅ローンのご相談なら住宅公園の住宅会社で
納めた税金の還付を最大13年間も受けられる住宅ローン減税はメリットが多く、利用しない手はありません。
しかし、いつまでにどれくらい戻ってくるかは人それぞれ。
確実に、かしこく還付金を受け取るためにはプロに相談することが安心に繋がります。
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