2020年より住宅価格は上昇を続けています。
これから住宅の購入を検討されている方にとっては、取得にかかる費用が大きな問題になるのではないでしょうか。
本記事では、昨今の住宅価格の動向や、そもそもの住宅価格の内訳から値上がりの原因を解説します。
住宅購入のタイミングはさまざまな要因から決まります。
基礎知識について理解し、プロに相談しながら住宅を購入するタイミングについて検討することをおすすめします。
高くなってる?住宅価格の今
数年前と比べ、2023年の住宅価格が値上がりしていることに気づいている方もいるかもしれません。
一生のうちで一番高い買い物になることの多い住宅は、少しの値上がりが月々の返済の負担になる可能性もあるでしょう。
ここからは、住宅価格はどのように推移しているのか、その動向を解説します。
気になる昨今の住宅価格の動向
2023年に公表された最新の国土交通省の不動産価格指数で、昨今の住宅価格の動向を確認してみましょう。
2013年頃より住宅地(土地)、戸建て、マンションを合わせた住宅総合の価格が上昇をはじめました。
戸建てのみの住宅価格は、2009年から2020年の前半期の約19年間においてほぼ横ばいであったものの、2020年の下半期から上昇をはじめました。
2023年までの過去5年間の具体的な不動産指数について、以下で表にしました。
年/月 | 戸建て | 住宅地(土地) | マンション |
---|---|---|---|
2017/01 | 102.3 | 102.0 | 132.6 |
2019/01 | 105.2 | 101.3 | 146.1 |
2021/01 | 102.7 | 102.3 | 157.1 |
2023/01 | 118.2 | 109.7 | 188.4 |
2023/07(最新) | 113.5 | 113.1 | 190.5 |
不動産指数では、2010年を平均の100として、増加のレベルを数値化しています。
すると、戸建の不動産指数は、2023年の1月には118.2となり、2010年とで比較すると1.2倍近く上昇しています。
具体的な住宅価格で計算してみましょう。
たとえば、2010年時に5,000万円で建てることができた戸建てを2023年の1月に建てようとする場合、5,910万円の費用がかかる計算となり、大幅な費用増と言えます。
なぜ住宅価格が上昇しているのか、今回は戸建て住宅に焦点をあて、住宅価格を決める内訳についての解説からはじめます。
意外と知らない住宅価格の内訳
住宅価格が上昇をはじめる原因について知る前に、根本となる住宅価格を決める内訳について解説します。
注文住宅と建売住宅とで内訳が異なるため、それぞれ別にまとめています。
具体的にどこの部分にお金がかかっているのかを知ると、住宅価格が上昇する原因も見えてくるでしょう。
注文住宅の価格の内訳とは?
注文住宅における価格の内訳は以下の通りです。
・本体工事費
・附帯工事費
・別途工事費
・諸費用
・税金
それぞれがどのような費用であるのかを解説します。
土地探しからはじめる家づくりのケースでは、上記の費用とは別に、「土地代+仲介手数料+登記費用」などがかかります。
本体工事費
本体工事費とは、建物本体にかかる工事費用を指し、以下の工事が含まれます。
・仮設工事:足場や水道、電気機器などの設置
・基礎工事:ベタ基礎などの建物の土台になる部分の工事
・躯体工事:柱や壁、床、天井などの建物の骨組みを造る工事
・建具工事:室内ドアなどの設置工事 など
内装やキッチンなどの住宅設備も本体工事費用に組み込まれます。
住宅会社で「本体価格〇〇円」「坪単価●●円」と表示されているのが、本体工事費にあたります。
附帯工事費
付帯工事とは、比較的軽微な建築工事費用を指し、以下の工事が含まれます。
・地盤調査:地盤の強度を測る調査
・引き込み工事・給排水やガス、電気の引き込み工事 など
現場監督の人件費のほか、建築時に必要な設備の購入費用なども含まれます。
別途工事費
別途工事費には、以下の工事費用が含まれます。
・地盤改良:地盤補強のために人工的な改良を加える工事
・外構工事:駐車場や庭、境界フェンスの工事 など
住宅施工会社で冷暖房機器や照明、カーテンなどの取り付けも依頼する際には、別途工事費用として算出します。
税金
家を建築したときには、以下の税金を納めなければいけません。
・消費税
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税
・固定資産税・都市計画税
上記のように、注文住宅そのものにかかる費用以外にも多くの雑費が必要です。
建売住宅の価格の内訳とは?
建売住宅における価格の内訳は、以下の通りです。
・物件価格
・諸費用
・税金
それぞれがどのような費用であるのかを解説します。
物件価格
「建物本体工事費+付帯工事費+別途工事費」を合算したものが、物件価格です。
建売の場合、駐車場などの外構工事も済んでいるケースが多いですが、なかには外構費用は物件価格に含まない場合もあるので注意しましょう。
不動産仲介業者から住宅を購入した際には、仲介手数料として「物件価格の3%+ 6万円」が別途かかります。
諸費用
火災保険料のほか、住宅ローンを利用する際には融資事務手数料などがかかり、諸費用として計算します。
ほかにも地鎮祭や引っ越し費用などが含まれます。
税金
建物にかかる消費税や印紙税、登録免許税、不動産取得税などの税金も負担する必要があります。
なぜ高い?
住宅価格が上がった要因とは
戸建ての住宅価格が上がった背景には、資材や住宅設備、人件費の高騰などさまざまな要因があります。
とくに、2020年からの住宅価格の上昇には、新型コロナウイルスによる影響が大きいと言えるでしょう。
ここからは、それぞれの要因について詳しく解説します。
要因1:ウッドショック
2020年に新型コロナウイルスが世界中に蔓延したことから、テレワークの可能な戸建てへの需要がアメリカを中心として急速に広まりました。
建築資材である木材の大幅な出荷増に加え、コロナ渦の人材不足も相まって木材の慢性的な不足による高騰が発生しました。
日本に輸入される木材にも影響が生じたことから、国内でも2020年より住宅価格が上昇をはじめています。
要因2:オイルショック
2022年に新型コロナウイルスのワクチン接種がはじまったことにより、人々の生活が活発化し経済も動き出しました。
原油の消費が増加したのに対し、原油国の増産が間に合わなかったために原油価格が高騰をはじめました。
結果として、日本への輸送費に影響を与え、住宅価格の上昇に影響しています。
また、ロシアのウクライナ侵攻により、EU(欧州連合)はロシア産原油の一部を輸入禁止としたことも、原油の供給ひっ迫の要因のひとつとなっています。
要因3:人件費
大工の高齢化と後継者不足により、住宅会社の待遇競争が起こり、人件費の値上がりが続いています。
加えて、建築に携わる外国人労働者の賃金相場も上昇しています。
住宅価格は、木材などの資材・キッチンなどの住宅設備・人件費の3つに大きくわけられるため、人件費の上昇も住宅価格に影響しています。
要因4:円安
円安は輸入品全般の価格を上げます。
したがって、海外から輸入される木材などの住宅資材が高騰する原因のひとつとなっています。
資材自体の価格の上昇と、輸入時の価格の上昇が重なり、住宅価格全体に影響が生じていると言えるでしょう。
要因5:住宅資材の値上がり
住宅資材の値上がりは、具体的に住宅のどの部分に影響するのか、値上がりが顕著な資材や設備をまとめました。
・木材
・板金類
・窓サッシ
・断熱材
・屋根瓦
・セメント
・住宅設備(ユニットバス、トイレ、キッチン、洗面台)
需要と供給のバランスの崩れから、各住宅メーカーも値上げせざる負えない状況にあります。
一つひとつの値上げが住宅価格の上昇の原因と言えるでしょう。
まとめ
住宅価格は2020年を境に上昇傾向にあります。
住宅価格が上昇する原因は、ウッドショックやオイルショック、人件費の増大などです。
この背景にあるのは、新型コロナウイルスや社会情勢です。
資材の多くを輸入している日本の住宅事情では、資材そのものの価格のほか、円安によってさらに価格が高騰し、住宅価格の上昇に大きな影響を与えているでしょう。
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