間取りは快適な家づくりに欠かせないものです。そして、間取りを考えるには家の中の動線がとても重要になってきます。
家づくりで重要な動線とは、どのような動線があるのでしょうか。
今回は、間取りを考えるときの動線で意識する点や、家事の負担を減らせる家事動線のポイントを紹介していきます。
住み心地の良い間取りを作りたい方や、間取りに悩んでいる方も、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
家づくりで重要な動線とは
はじめに、家づくりにおいて動線がどのように活かされるのか解説していきます。
動線とは
動線とは、人の動きを線として考え、どの経路を通るかを表したものです。
家づくりでは、住みやすい家にするために「生活動線」「家事動線」をメインとして考える方がほとんどです。
動線を考えて間取りを作成すると、生活においてのストレスを事前に回避できます。無駄な動きを省いた動線を作り出すことで、スムーズでストレスフリーの家づくりが可能となり、快適で時短につながるゆとりある暮らしが可能になるのです。
それぞれの動線の特徴については、次の章で紹介していきます。
生活動線
生活動線とは、朝起きてから夜寝るまでの一日の生活の動きを線で表したものです。
起床してからリビングに向かうまでや、身支度をして玄関に行くまでなど、家の中で過ごす動線が複雑だと不便で住みづらい家になってしまいます。そのため、生活動線を考えた間取り作りはとても重要になります。
朝起きてから夜寝るまで、家族一人ひとりが家のどこで何をして生活をしているかを考えてみましょう。紙に書き出すなど、あらためて可視化することで生活動線で一番重要なポイントに気づくこともできるでしょう。
家事動線
家事動線は、料理や洗濯、掃除など、家事をする人の行動を線で表したものです。
家庭で一番重労働になる家事は、いかに無駄な動きをせずスムーズに動けるかが重要なポイントとなります。
特に家事動線は一つひとつの家事でこなす工程が多いため、細かい確認が必要です。
例えば、料理を作る場合の工程は以下のようになります。
①材料を冷蔵庫(パントリー)から取り出す
②下ごしらえをする
③調理する
④食器を準備する
⑤盛り付ける
⑥料理を運ぶ
このように、料理を一品作るだけでも6つもの工程があり、さらに複数調理をする場合には、これらの工程を繰り返さなければなりません。
家事動線がコンパクトにまとまっていると家事がしやすくなります。キッチン・洗面所・お風呂などの水回りを集約すると効率の良い家事動線が作れます。
その他動線
生活動線・家事動線のほかにも、「来客動線」「通勤動線」「衛生動線」などがあります。
それぞれの動線について詳しく解説していきます。
来客動線
来客動線とは、来客者が家に訪れた際の動線のことです。
来客動線のポイントは、来客者にキッチンなどの生活空間やプライベート空間を見られることなくトイレに行ける動線を作ったり、玄関の横に客間を設置することです。
客間の間取りの実現が厳しい場合には、寝室や浴室などの生活動線と来客動線が重ならないようにしておくと良いでしょう。
来客動線は、特に普段から自宅に人が集まるなど、来客者が多い方におすすめです。
通勤動線
通勤動線は、朝起きてから学校や仕事へ行くまでの動線を考えたもので生活動線の一部でもあります。
部屋からトイレ・リビング・洗面所の流れのほかに、着替えや身支度、通勤鞄などをどこに置くかなど、朝の通勤・通学までの流れをスムーズに行えるように動線を考えます。
衛生動線
衛生動線とは、トイレや浴室へ移動する動線のことです。
最近では玄関に手洗いスペースを設けたり、玄関から直接洗面所へ行ける間取りなどが増えています。
衛生動線のなかでも、特にトイレは使用頻度も多い場所なので間取りに気を付ける必要があります。臭いや流水音などが気にならないよう、衛生面への影響を配慮した動線を考えましょう。
家事が楽になる動線のポイント
家事が楽になる動線のポイントは4つあります。家事動線を考えた家づくりは家事の負担が減り、ゆとりある生活が送れるようになります。
それぞれのポイントを参考に、間取りを考えてみましょう。
それでは、一つずつ詳しく解説していきます。
洗濯動線
洗濯動線とは、「洗う」「干す」「しまう」の洗濯に一連する動線のことです。
洗濯動線をまとめることで、家事のなかでも大がかりな工程を大きな移動もなく、その場でスムーズに終えることができます。
例えば、洗濯機を1階の脱衣所に設置したとして、干す場所が2階のベランダの場合の工程を考えてみましょう。
①洗濯機を回す(1階)
②カゴに移して運ぶ(1階から階段で2階へ)
③ベランダに干す(2階)
④洗濯物を取り込む(2階)
⑤洗濯物を運ぶ(2階から1階へ階段)
⑥洗濯物を畳む(1階)
⑦洗濯物をしまう(1階または2階)
洗濯の工程は全部で7項目ありますが、洗う場所・干す場所・しまう場所が全て違うため一日に何回も重い洗濯物を抱えて1階と2階を往復しなければなりません。
しかし、工程数は減らずとも、全て同じフロアで家事を済ませられるとしたらどうでしょうか?何回も移動する距離が確実に減り、家事時間の短縮にもつながりますよね。
このように、洗濯動線は洗う場所・干す場所・しまう場所を考えた間取り作りを心掛けましょう。また、洗濯をするのは朝なのか夜なのか、干す場所は部屋干しなのか外干しなのかもセットで考えることをおすすめします。
掃除動線
掃除動線とは、掃除をするための動線です。
日頃使用している掃除機やモップ、洗剤などの掃除グッズは、使いたい時にさっと取り出して掃除が面倒にならない場所へまとめて収納すると良いでしょう。
例えば、掃除機を出したらその場でコンセントをさして掃除ができたり、掃除が終わったらそのまま充電ができたりと、収納場所にコンセントをつけることもおすすめです。
普段どんな掃除道具を使っているのか、掃除の頻度に合わせた収納スペースなど工程を細かく洗い出して確認してみましょう。
ゴミ出し動線
ゴミ出し動線は意外と見落としがちですが、ゴミ出し動線を考えるのと考えないのとでは、家事ストレスの度合いが変わってきます。
ゴミ出し動線では、まず資源ごみや不燃物、ダンボールなど、家のどこにゴミ箱を配置するのかを考えましょう。その後で資源ごみは回収日までどこへまとめておくのか、主な保管場所を考え、家からゴミ収集所への最短ルートを打ち出しましょう。
最短ルートを確保すれば、雨や雪などの悪天候の日や、大掃除などでゴミがたくさん出た日も、ゴミ出しの負担を少しでも和らげることができます。
ゴミ出しの回数は、地域差はあるものの家事の中では頻度が多いものです。間取りを作るときに家事動線と一緒に考えてみましょう。
回遊動線
回遊動線とは、その名のとおり家の中を行き止まることなく、ぐるりと回れる動線です。
例えば、キッチン・洗面所・トイレなどの水回りがそれぞれドアで繋がっていたり、リビングからキッチンへ、または水回りからキッチンへと、同じキッチンへ行くにも複数のルートがあったりと行き止まりがないので、ぐるぐる移動しながら家事を行えるのが特徴です。
回遊動線を用いた間取りにすると、家の中の移動距離を短く済ませられるのも大きなポイントですよ!
家事が楽になる間取りのポイント
家事が楽になる間取りを作るには、つぎの3つのポイントを間取りに取り入れてみると家事動線がスムーズになります。
間取り作りを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
家事室
家事室は、洗濯を畳んだり、アイロンがけをしたりと家にまつわるさまざまな家事ができるスペースです。家事室のほかに「ユーティリティルーム」と呼ばれることもあります。
浴室・脱衣所・洗面室を家事室とつなげたり、サンルームとつなげて洗濯物をそのまま畳んでしまったりと理想の家事動線に合わせた使い方が可能です。
最近では、家事室にファミリークローゼットを一緒に設置する間取りも増えています。
ほかにも、ミシンを置いたり、パソコンを置いたり、家計簿をつけたりと、ちょっとしたワークスペースとしての利用など、使い勝手が良いのがポイントです。
キッチンの隣のパントリー
パントリーは食料品や飲料・日用品などをストックする収納スペースです。また、食品を収納するだけではなく、在庫の把握と管理もできます。
パントリーをキッチンの隣に配置することで料理中の移動を最小限に抑えられ、効率的に料理が進められます。
キッチンに収納しきれないホットプレートや鍋などの調理器具も収納できるので、パントリーがあればキッチンを広々と使えるのもポイントです。
リビングの隣の和室
リビングの隣に和室を設置し、家事スペースとして使用するケースも見られます。
リビングに隣接していれば、テレビを見ながらくつろぐ家族とも同じ空間でコミュニケーションが取れます。
他にも、和室を客間や書斎、子どものスタディスペースに使用することも可能です。
和室の使い方はまだ他にもありますので、以下の使い方もぜひ参考にしてみてください。
・寝室
・子ども部屋
・赤ちゃんのお世話部屋(産後のお母さんの体調回復にも)
・プレイルーム
・リモートワークスペースなど
このように、和室には無限の使用用途があることが分かります。ただし、使用用途が曖昧だと和室を活用しきれずに後悔することも。
リビング隣に和室の配置を検討している方は、使用用途を明確にしておくことがポイントです。
まとめ
今回は、家事が楽になる動線や間取りについて解説しました。
生活の中で一番重労働とされる家事は、きちんと動線を考え、少しでも移動距離を短くする間取りを考えられれば負担が軽減できます。
実際の家事動線を考えた間取りを体験するなら、住宅公園がおすすめです!
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