住宅性能評価って何?!
制度をわかり易く解説

家を建てる時に知ることの多い住宅性能評価は、法律に基づいておこなわれる消費者にもわかりやすい住宅の評価であり、良質な住宅市場をつくるための制度です。
しかし、具体的にどのようなものなのか、やるべきなのかを疑問に思うこともあるでしょう。
そこで本記事では、住宅性能評価とはなにか、評価の基準や受けることで得られるメリット・デメリット、申請までの流れについて解説します。
制度そのものについて詳しく知ることで、安心して住まえる家づくりの参考にしてください。

住宅性能評価とは

住宅性能評価とは何なのか、できた経緯や住宅性能表示制度について解説します。

住宅性能評価ができた経緯

欠陥住宅問題が露見していたことから、政府は2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」を施行し、消費者が安心してマイホームをもてるような市場の形成を目指しました。
品確法は、つぎの3本の柱で成り立っています。

・住宅性能表示制度:住宅性能についてわかりやすくする
・10年間の瑕疵(かし)保障:住宅構造部についての瑕疵担保責任期間を10年間義務化する
・紛争処理体制:トラブルを素早く解決に導くための指定住宅紛争処理機関を整備する

住宅性能表示制度に基づき、住宅性能を客観的に評価したものが「住宅性能評価」です。
ここからは、住宅性能表示制度について、詳しく解説していきます。

住宅性能表示制度

注文住宅を含めて住宅を購入する際、住んでから欠陥が見つかるなどのトラブルが起こることは誰しもが避けたいはずです。
そして、地震などの自然災害から家族を守れる家、日々の暮らしが快適な家に住むためには、良質な家である必要があります。
しかし、一般的な住宅の消費者に住宅の構造や性能について知識があるわけではありません。

そこで、品確法のもとに安定した品質の住宅を推進するため、第三者機関が住宅を客観的に評価する「住宅性能表示制度」が制定されました。
これを書面に記したものが、住宅性能評価書です。
住宅性能評価書には、設計時に評価される「設計住宅性能評価書」と、建築中と完成時に評価される「建築住宅性能評価書」の2種類があります。

住宅性能評価書の10の評価項目

新築住宅における住宅性能評価書では、10項目が評価対象です。
それぞれの評価内容について解説します。

1 構造の安定

地震や台風、積雪などに対する建物の構造体が、どれくらい強いのかを評価します。
具体的には、地震による損傷・倒壊などの防止が講じられているか、また、積層ゴムなどによる免震建築物であるかどうかで判断します。
強風に対する評価のほか、地域によっては大雪に対する評価もあります。

2 火災時の安全

火災が起きたときに住宅がどれくらい延焼しにくいのか、避難のしやすさなどを評価します。
窓などの開口部のほか、壁や床などの耐火性能や火災報知機が設置されているかどうかもチェックポイントです。

3 劣化の軽減

建物の経年劣化のスピードを遅らすことが可能な建材が使われており、耐久性が高いかどうかを評価します。
具体的には、建物の土台や柱が腐食しにくくなる対策を講じているのかどうかをチェックします。

4 維持管理への配慮

床下点検口などが設置されており、メンテナンスサイクルの早い箇所である給排水管やガス管の点検、修繕がしやすいかどうかを評価します。

5 温熱環境

住宅の省エネ性能を評価します。
これには、断熱性能のほか冷暖房や給湯器などの設備、太陽光発電などの創エネルギー設備の有無についても評価します。

6 空気環境

シックハウス問題として取り上げられることの多い、有害物質であるホルムアルデヒドを含む接着剤の使用状況を評価します。
また、居室や浴室などに換気対策がされているかどうかも評価され、健康被害のおこらない居住環境であるかどうかを判断します。

7 光・視環境

採光などの物理的な面だけではなく、開放感ややすらぎなどの心理的な面でも享受を得られるかどうかをはかるため、室内の明るさを評価します。
東西南北および上部の窓の大きさについて、面積や位置が配慮されているかで判断します。

8 音環境

東西南北および上部について、窓などの開口部にかかわる遮音性能を評価します。
この際は、場所によっても騒音の程度が異なることから、方位別に遮音性の高さをはかります。

9 高齢者等への配慮

移動時に安全性が確保されているかや介助が容易であるかなど、高齢者や子どもにも配慮されたバリアフリー住宅であるかどうかを評価します。
具体的には、手摺りの設置や階段などの勾配が緩やかであること、段差の解消などがあげられます。

10 防犯

侵入者から住人を守られるような、防犯対策が講じられているかどうかを評価します。
窓やドアなどの開口部の高さや、防犯に対して有効な部品や雨戸などが設置されているかどうかで判断します。

住宅性能評価を受けるメリット・デメリット

住宅性能評価を受けることは義務ではありません。
しかし、受けることで得られるメリット・デメリットがあるため、それぞれについて把握しておきましょう。

メリット

住宅性能評価を受けることで得られるメリットは、5つあります。

①欠陥住宅に住むリスクが減る
②金利が安い住宅ローンが組める
③地震保険料が安くなる
④贈与税の非課税枠が拡大する
⑤住宅トラブルが起きたら専門機関に頼れる

国に登録した第三者評価機関によって住宅性能が評価されることから、施工ミスが減り、欠陥住宅に住むリスクを大幅に減らせます。
品確法にある10年間の瑕疵担保責任は、基礎などの構造部のみが対象です。
しかし、住宅性能評価の申請に必要な検査では、基礎、躯体、内装下張り前にも現場検査がおこなわれるため、建ててからでは知ることのできない住宅の内部についてもしっかりと調査がおこなわれます。
そのため、住んでからトラブルが生じるリスクを減らせるでしょう。

さらには、住宅ローンの負担を軽減できるメリットもあります。
全期間固定金利のフラット35は、返済額が変動することなく返済プランを立てられる特徴がありますが、住宅性能評価を受ける住宅には、最大で0.25%の金利引き下げが可能なフラット35Sの適用が可能です。
また、民間金融機関でも変動金利を含めて、独自の優遇策を設けていることがあります。

そのほかにも、耐震等級によっては地震保険料が最大で50%の割引がされることや、贈与税の非課税枠が拡大されることで節税効果も期待できます。
また、瑕疵などが原因で住宅会社とトラブルが起きた場合には、弁護士や建築士に無料で電話相談ができるほか、弁護士会に紛争処理として1件につき1万円と安価で依頼することができるため、万が一のときも安心です。

デメリット

住宅性能評価をおこなうことでのデメリットは、コストがかかることです。
まずは、10の評価項目の基準をクリアした高性能な住宅を建てることにコストがかかります。
耐震性や耐火性など、住宅会社によって基本プランに含まれる項目が異なるため、すべてをクリアしている場合をのぞき追加で費用が必要です。
そして、住宅の規模や評価機関によっても異なりますが、住宅性能評価の申請時には20〜40万円ほどの費用がかかるでしょう。

申請までの流れ

住宅性能評価を受ける際の、申請までの流れを解説します。

相談・見積もり、現場検査、評価書の受領

新築住宅を建てる際に住宅性能評価を受けたい場合、まずは住宅会社にその旨を相談しましょう。
続いて、評価を受けられる住宅構造や設備を備えたプランの見積もりをもらいます。

住宅性能評価の申請時には、設計住宅性能評価書と建築住宅性能評価書の2種類の書類をそのほかの必要書類とあわせて、それぞれのタイミングで提出する必要があります。
住宅の設計時には設計図書の評価がおこなわれ、適合されると設計住宅性能評価書を受領できます。
建築着工後、原則として4回ある現場検査を経て適合されれば、建築住宅性能評価書を受領できます。

まとめ

住宅性能評価とは、法律に基づいて建物の設計・建築中・完成時に第三者機関が客観的に住宅を評価する制度です。
住宅性能評価制度を活用することで、目で見ても判断がしにくい、または建ててからでは判断することの難しい構造部などの住宅性能がわかるため、住んでからの安心感が得られることが大きなメリットです。
建築や申請時にコストはかかりますが、地震保険の割引や住宅ローンの金利優遇などのメリットも享受できるため、総合してどちらが得策であるかどうかを考えてみるとよいでしょう。

不動産取得税の減税措置における計算方法は、次のとおりです。

住宅性能評価について詳細が知りたければ住宅公園へ

末永く安心して暮らせる住宅を求めるなら、住宅性能評価を受けることはひとつの手段です。
しかし、「決めかねている」、「プロの意見も聞いてみたい」という方も多いのではないでしょうか。

住宅公園では、住宅性能評価のメリット・デメリットを踏まえ、自身がどうすべきかを気軽に確認・相談ができます。
住宅会社によっても住宅性能は異なるため、さまざまなハウスメーカーや工務店が出展している住宅展示場なら、住宅性能評価制度に沿った家づくりの比較検討も可能です。
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