家を建てて10年ほどが経過すると、建物の全体的なメンテナンスについて考えなければいけません。
不備や故障してから補修や交換などをおこなうのではなく、設備によっては計画的にメンテナンスや点検をおこなう必要があります。
本記事では、住宅のメンテナンスはなぜ必要なのか、具体的なメンテナンス内容などを解説します。
メンテナンスをおこなわないと建物や室内の見た目が悪くなるばかりではなく、建物の構造体そのものが弱くなるリスクがあります。
どのようなメンテナンスが必要なのかを把握し、計画的に実施することで、長い期間快適な住まいを維持できるでしょう。
住宅メンテナンスの重要性
マイホームでの快適な暮らしを維持するためには、メンテナンスが重要です。
建物や設備には寿命があり、老朽化のほか雨、風などが原因で傷みが生じるからです。
適切なメンテナンスをおこなえば、よりよい状態を保ちながら安心して長期間住まえることができるでしょう。
ここからは、住宅のメンテナンスについて詳しく解説します。
住宅のメンテナンスは何がある
住宅のメンテナンスは、主に次の2種類に分けられます。
・外壁メンテナンス
・内装メンテナンス
雨・風・日射などの環境の影響をダイレクトにうける外壁や屋根は、内装に比べて傷むスピードが早いです。
外壁のメンテナンスを怠ると、建物の内部まで影響を受ける恐れがあります。
一方、建物内の内装や住宅設備は外壁に比べて経年劣化のスピードは緩やかですが、定期点検やメンテナンスは必要です。
一般的な木造住宅の寿命である「耐用年数」は、30年前後とされています。
これは、木造住宅がコストを抑えて家を建てられるものの、環境の影響を受けやすい建材で建てられた住宅であるからです。
しかし、耐用年数はメンテナンスをせずに住み続けた場合の年数です。
計画的なメンテナンスをおこなうことで経年劣化の影響を抑えられ、80年以上快適に住まえるケースも珍しくありません。
住宅のメンテナンスをおこなう目的として、自分たちが快適に住まう以外にも住宅としての資産価値を守る意味があります。
建物の価値は築年数とメンテナンス状況で左右されます。
築年数は抗えませんが、定期的なメンテナンスをすることで建物の経年劣化を抑えて、資産価値の降下スピードを遅らせることは可能です。
建物の構造などにもよりますが、手入れしてある建物であるほうが必要時には適正な価格、またはそれ以上で売却できる可能性があります。
また、世代を超えて受け継がれる家として存続させることもできます。
長く住む家だからこそ、災害や経年劣化の対策として定期的なメンテナンスをおこない、住宅の快適性・安全性を維持していかなければいけません。
住宅を建てる段階で何にメンテナンスが必要なのかを把握すると、建材や設備を選択するときにも役立つでしょう。
ここからは、外壁と内装それぞれが劣化することで起こる影響や、メンテナンス内容を解説します。
外壁メンテナンス
外壁が劣化することでどのような影響があるのか、メンテナンス内容を解説します。
外壁劣化による影響
外壁の劣化による建物への影響は次の通りです。
・建物の見栄えが悪くなる
・地震に弱い建物になる
・健康被害につながる
外壁に含まれる塗料には樹脂が含まれており、塗膜で建物は守られています。
しかし、太陽光に含まれる紫外線に長期間さらされると、塗料の一部が浮き出てムラが生じます。
また、樹脂の劣化により塗料は色褪せるほか、塗料の一部が粉化するチョーキングが発生するケースもあるでしょう。
そのほかにも、クラックと呼ばれるひび割れや、塗料・コーキングの剥がれが起こり得ます。
塗料が劣化すると防水性が下がり、建物にコケや藻が発生しやすくなります。
とくに日が当たりにくい北側の外壁や、隣家と密接しており通風不良の外壁のほか、川や田んぼなどの水分が多い場所に面する外壁はコケや藻の発生が促進されます。
外壁の劣化は、建物の強度の低下にもつながります。
耐水性が失われたまま放置すると雨水が建物内部まで侵入し、構造体を腐食させる原因になりかねません。
住宅の耐久性まで失われれば、地震が起こったときの被害も大きくなるでしょう。
木造住宅の構造体である木材は、水分が多い環境下では劣化スピードが加速するだけではなく、カビやシロアリが発生するリスクがあります。
住宅内にカビが繁殖するとアレルギー症状の発現など、健康被害につながる恐れがあります。
外壁のメンテナンスを怠ると建物の見た目だけではなく、住宅の機能性までも低下させてしまうため、定期的なメンテナンスは重要と言えるでしょう。
外壁メンテナンスとは
外壁メンテナンスでは、劣化状態によって次の異なる作業をおこないます。
・部分的な劣化:外壁材の補修
・色褪せや軽度の劣化:外壁塗装
・重度の劣化:外壁材の貼り替え
補修や塗装などによって、外壁本来の機能を取り戻すことが可能です。
劣化状況によってメンテナンスの規模は異なり、補修であればひび割れの部分にコーキング材を注入作業するなど、軽度の修復で作業は完了します。
10年や15年などのスパンでおこなう定期的なメンテナンスであれば、外壁塗装で全体を塗装しなおします。
塗装のなかには断熱機能や防汚機能などが含まれた塗料もあるため、塗装を依頼する際には検討するのもよいでしょう。
外壁の表面だけではなく外壁そのものが劣化している場合は、外壁材そのものを張り替える必要があります。
大がかりな作業となるため、時間も費用も多くかかるでしょう。
しかし、外壁が新しく生まれ変わることで、新築のような見た目や機能性に期待できるメリットがあります。
内装メンテナンス
内装が劣化することでどのような影響があるのか、メンテナンス内容を解説します。
内装劣化による影響
継続して住み続けていると内装は劣化し、住みにくさや突然の故障により災害が発生する恐れがあります。
たとえば、クロスの劣化により室内が薄暗い印象をうけたり、掃除をしてもきれいにならないと感じたりするでしょう。
水回りの機能が低下すると使いにくくなり家事効率が悪くなるなど、日々の暮らしでストレスを感じることも出てくるかもしれません。
コンロなど火を扱う住宅設備では、劣化により家事が発生するリスクもあります。
耐用年数が近づいてきたら、設備の交換を視野に入れたメンテナンス計画をすると安心です。
内装メンテナンスとは
内装メンテナンス作業では、主に次の作業をおこないます。
・クロス・フローリング・畳の貼り替え
・住宅設備の取り換え(レンジフード、コンロ、洗面台、トイレ、ユニットバスなど)
・給排水管点検
・高圧洗浄(下水のつまり解消)
・防水工事(バルコニー、シーリング)
・シロアリ防除工事 など
クロスは10年、フローリングや畳は15~20年が耐用年数です。
キッチンや洗面所、トイレ、浴室などの住宅設備の耐用年数は、10~20年ほどです。
いずれも、取り換えなどのメンテナンスが必要になりますが、取り替える設備そのものが高額である場合は、メンテナンスコストが高くなるでしょう。
見える部分だけではなく、内部の見えない部分も内装メンテナンス工事の一部です。
給排水管は30~40年ほど使い続けることを想定しており、住宅設備のなかでも長期使用が可能な設備です。
5~10年に一度点検をおこない、高圧洗浄などで適宜メンテナンスをおこないます。
構造部に木材を使用する木造住宅では、シロアリが寄生しないように定期的に防除剤を散布するメンテナンスが必要です。
建物の耐久性にも関わる作業になるため、しっかりと計画しましょう。
内装や設備のメンテナンスはリフォーム業者がおこなうのが一般的ですが、クロスの貼り替えなどであればDIYすることも可能です。
メンテナンス費用が抑えられるほか、より愛着のわく我が家になるでしょう。
まとめ
住宅には経年劣化により寿命があります。
とくに外壁は雨や風、日射の影響をダイレクトにうけることから、内装よりも短期間でのメンテナンスが必要です。
メンテナンスをしないと見栄えが悪くなるだけではなく、雨漏りなどが原因で構造体が腐食し地震が起きたときの被害が大きくなるリスクがあります。
内装メンテナンスでは、クロスの貼り替えやユニットバスなどの住宅設備の交換、給排水管の点検、シロアリ防除工事などをおこないます。
どちらも住宅の機能性を維持する目的があり、資産価値を守る大切なメンテナンスです。
長く使う家だからこそ、建てるときにメンテナンスまで考える必要があります。
住宅公園では、建物の仕様だけではなく、建物の寿命やメンテナンス期間、コストなどを含めた住宅メーカー選びが可能です。
人生設計とともに住宅を考えるのであれば、ぜひ住宅公園にお越しください。