長期優良住宅と認定されるには?
条件や基準、取得のメリットを解説

長期優良住宅は快適・安心な暮らしを長い間送ることができる、良質な住宅です。
「どうすれば長期優良住宅が建てられるのか」、「メリットについて詳しく知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、長期優良住宅とはなにか、新築・増改築別の認定基準、申請までの流れやポイントについて解説します。
これから家づくりをはじめるならコストバランスを含め、心身ともに心地よく住まえる家づくりについて検討することをおすすめします。

長期優良住宅は必要か

長期優良住宅の仕組みからメリット・デメリット、どのような方に必要なのかをまとめました。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて建てられた、住む方が長期間にわたり快適・安心に暮らせる住宅を指します。
認定を受けるためには、国土交通省が定めた住宅性能の基準を満たした家を建てるとともに、所管行政庁に申請しなければいけません。
この制度は新築住宅を対象に2009年から始まり、増改築した際の申請については2016年から申請受付が開始されています。

長期優良住宅のメリット・デメリット

長期優良住宅は低金利で住宅ローンを借りられるほか、節税効果が得られるメリットもあります。
これからご紹介する各特例は適用期間が延長されることも多いため、常に最新情報を取得しましょう。

メリット①住宅ローンが低金利で借りられる

住宅支援機構と民間の金融機関が提供している「フラット35」ですが、長期優良住宅を取得する際は金利が優遇された「フラット35S」でプランを組めます。
たとえば金利Aプランなら、当初10年間においては0.25%金利が低くなります。

メリット②地震保険料が安くなる

地震による被害に補償される地震保険ですが、長期優良住宅の場合は一般住宅よりも保険料が安くなります。

  1. ・耐震等級割引:耐震等級2なら30%
  2. ・耐震等級割引:耐震等級3なら50%
  3. ・免震建築物割引:50%

長期優良住宅においては上記のいずれかの耐震基準を満たしていることが多く、地震保険料を節約できるでしょう。
なお、保険料金は住んでいる地域や建物の構造によって異なります。

メリット③所得税が安くなる

住宅ローン控除を申請することで、年末ローン残高の0.7%が所得税から減税されます。
一般住宅の場合は控除期間が10年間ですが、長期優良住宅の場合は13年間の減税期間が設けられており、最大で455万円の節税になります。
なお、住宅ローン控除は2025年内に入居した方が対象です。

住宅ローン控除を受ける際には、10年以上の返済期間がある場合などに限り適用されますが、それ以下、もしくは一括で物件を取得した場合には控除が受けられません。
そのようなときには、「投資減税型の特別控除」を申請することで所得税の控除が受けられます。
控除額は、標準的な性能強化費用相当額(45,300円×床面積)の10%相当となり、上限は650万円です。
2023年に入居した方を対象としており、住宅ローン控除との併用はできません。

メリット④登録免許税が安くなる

住宅を取得した場合は登記という作業をおこない、自己所有である旨を法務局に登録します。
このときにかかる登記免許税は「課税標準×税率」で求められますが、本則では0.4%の税率がかかるところ、一般住宅なら0.15%、長期優良住宅においては0.1%と引き下げられています。
なお、この特例は、2024年3月末までに住宅を取得した方を対象としています。

メリット⑤不動産取得税が安くなる

新築住宅の取得時に支払う不動産取得税についても、控除額が優遇されます。
課税標準からの控除額は、一般住宅の場合は1,200万円、長期優良住宅なら1,300万円です。
不動産取得税は「固定資産税評価額-1,300万円×3%」で算出され、一般住宅なら最大で36万円、長期優良住宅の場合なら最大で39万円が減税されます。
なお、この特例は、2024年3月末までに新築住宅を取得した方を対象としています。

メリット⑥固定資産税の減税期間が延長される

住宅を所有している間に毎年支払う固定資産税もまた、軽減措置期間が優遇されます。
新築住宅の固定資産税額は「課税標準額×1.4%」で算出されます。
一般住宅の場合は3年間ですが、長期優良住宅は5年間において税額の2分の1が減税される制度です。
なお、この特例は、2024年3月末までに新築住宅を取得した方を対象としています。

デメリット①コストが高くなる

長期優良住宅は高性能な住宅であるために、設計費用や建築資材などにコストがかかってしまうため、一般住宅よりも割高な傾向があります。
また、認定を受けるための申請時にも費用を負担しなければいけません。

デメリット②定期的な点検やメンテナンスが必要

工事完了後は作成した「維持保全計画書」に沿って、定期的に点検をおこなう必要があります。
点検期間は、最長で10年ごとの30年間となり、状況に応じて補修作業も必要です。

長期優良住宅認定の家に向いている人

住宅性能が向上している昨今では、一般住宅でも暮らしやすい生活が送られるかもしれません。
そのなかで、あえて長期優良住宅を選ぶとしたら、なにを基準に判断するとよいのでしょうか。

  1. ・光熱費を抑えたい
  2. ・快適な室内環境で暮らしたい
  3. ・子供に家を受け継ぐことも考えている

上記に当てはまる家の理想があるのなら、長い間、家を最善の住処としていける長期優良住宅をおすすめします。

長期優良住宅の条件・基準とは

長期優良住宅の認定を受けるために必要な条件・基準について、新築・増改築別にご紹介します。

長期優良住宅の認定基準とは

長期優良住宅の認定を受けるためには、「長期使用構造等基準」をクリアしなければいけません。
性能別の基準は以下のとおりです。

①劣化対策
建物の躯体を頑丈にすることで、リフォームなどをえて何世代にもわたり住まえること

②耐震性
地震発生時にも引き続き住み続けられるよう、被害を受けにくい家であること

③省エネルギー性
断熱性能を高くすることで、暖房効率をあげられること

④維持管理・更新の容易性
耐用年数が短い配管設備の点検・メンテナンス交換が容易におこなえること

⑤居住環境
景観を守る地域の条例などに沿った家づくりがされていること

⑥住戸面積
居住水準を確保するため、一戸建ての住宅においては1階の床面積が40㎡以上かつ、総床面積75㎡以上の建物であること

⑦維持保全計画
定期的な点検やメンテナンス計画により建物が保たれること

⑧災害配慮
自然災害発生のリスクがあるエリアでは、定められた措置を講じている住宅であること

上記の基準は新築か増改築かでも細かく異なるため、ここからそれぞれについて解説します。

新築における認定基準

新築住宅で認定を受けるために必要な、別途の基準は以下のとおりです。

  1. ・劣化対策:劣化対策等級3かつ、床下空間の有効高さを確保。また、床下や小屋裏に点検口を設けるなど
  2. ・耐震性:耐震等級2、耐震等級1かつ安全限界時の層間変形40分の1以下、免震建築物のいずれかをクリアしていること
  3. ・省エネルギー性:断熱等性能等級4であること
  4. ・維持管理・更新の容易性:維持管理対策等級(専用配管)3であること

増改築における認定基準

増改築で認定を受けるために必要な、別途の基準は以下のとおりです。

  1. ・劣化対策:一定の条件を満たした場合は床下空間の高さの確保を必要としない
  2. ・耐震性:耐震等級1、または免震建築物であること
  3. ・省エネルギー性:断熱等性能等級4または、断熱等性能等級3かつ 一次エネルギー消費量等級4であること

長期優良住宅に認定されるためのポイント

長期優良住宅の申請手順や注意ポイントについてまとめました。

申請のステップや注意ポイント

長期優良住宅の申請をする際のステップは、以下のとおりです。

①建物の調査をおこなうインスペクターに依頼し、状況調査書を作成してもらう
②登録住宅性能評価機関に状況調査書や設計内容説明書などを添えて提出し、確認書等を交付してもらう
③所管行政庁に認定申請書などを添えて提出し、適合審査後に「認定通知書」が交付される

長期優良住宅として認定を受けるためには、基準を満たす住宅であることを着工前に申請しなければいけません。
また、家を建てたあとの点検やメンテナンスは義務化されており、実施した記録の保管も求められます。

長期優良住宅を建てる場合の住宅会社の選び方

長期優良住宅の家を建てるのなら、実績がある施工会社かどうかを確認しましょう。
技術や知識が伴っていないと、スムーズな家づくりができないかもしれません。
また、建てた家の断熱性能をチェックすることができれば、実際に暮らしやすいかどうかの判断材料にもなるでしょう。

長期優良住宅の家づくりを考えるなら住宅公園へ

建物の土台や柱などの躯体が丈夫に造られている長期優良住宅は、地震にも備えられるほか、メンテナンスをすることで世代を跨いだ家づくりが可能です。

住宅公園では、長期優良住宅を建てた実績のある施工会社のモデルハウスを内覧できます。
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