「外の騒音が聞こえない家にしたい」、「音楽や映画を思いっきり楽しみたい」など、外部に気を遣うことなくストレスフリーな家づくりをしたい方もいることでしょう。
これから家づくりをはじめるのなら、防音の家がどのような家なのかを知っておくと、計画もスムーズに運びます。
本記事では、防音の家とはどのような家なのか、メリット・デメリットや家づくりにおける防音対策について解説します。
自分たちの思いのままの暮らしやくつろぎの空間も叶えるために、ぜひ検討してください。
意外とストレスである音
外から聞こえる車やバイクのエンジン音、選挙活動や企業宣伝で使われる街頭宣伝車のスピーカー音など、騒音に頭を悩ませた方も多いことでしょう。
家でくつろいでいるときや就寝時間などはとくに不快を感じるほか、小さな子どもの昼寝を邪魔されれば、さらに不快感は増します。
ほかにも、線路が近いなどの立地によっても、家の防音を必須と考える方もいます。
自分ではコントロールできない外部の音だけではなく、自分たちがコントロールできる音に気を付けるあまり、ストレスを感じることもあるでしょう。
子どもの声や音楽の音などで隣家に迷惑をかけたくないため、やりたいことを思いっきり楽しめないと考えるのも、音によるストレスのひとつです。
防音の家でストレスフリーな生活へ
生活をしていると意外とストレスとなる「音」ですが、せっかく新しく家を建てるのだから、ストレスフリーで毎日を思いのままに楽しく過ごしたいと考える方も多いでしょう。
そこで今回は、家づくりにおける防音や防音対策についてご紹介します。
防音の家で、ストレスフリーな暮らしを手に入れましょう。
防音とは
防音対策の基本となる「遮音・吸音・防音」それぞれの異なる特徴について解説します。
遮音・吸音・防音の違い
遮音・吸音・防音のそれぞれの違いは次の通りです。
- ・遮音:空気中の音を「跳ね返す」ことで音漏れを防ぐ
- ・吸音:空気中の音を「吸収する」ことで音漏れを防ぐ
- ・防音:「遮音と吸音を組み合わせて」音漏れを防ぐ
遮音性が高すぎると音が反響し過ぎてしまい、音質が変わったり音が聞き取りにくくなったりします。
一方、吸音性が高すぎると反響音が抑えられてしまうため、とくに音楽鑑賞や映画鑑賞などは臨場感が半減し、物足りないと感じることもあるでしょう。
遮音と吸音をうまく組み合わせたのが防音です。
それぞれの長所を活かし、デメリットを抑えた防音効果に期待できます。
事前に知っておくべき防音のメリット・デメリット
家づくりで防音対策を検討する際にはまず、防音対策のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
防音によるメリット
家を防音にすると次のメリットがあります。
- ・隣家とのトラブルの防止
- ・気兼ねなく趣味を楽しめる
- ・子育てによるストレスが緩和される
子どもの声やペットの鳴き声など、さまざまな生活音が隣家とのトラブルの原因になります。
住宅密集地などではとくに隣家との距離が近いため、周辺住民に配慮する必要があるでしょう。
家が防音されていれば外部の音と内部の音が遮断され、気苦労をせずにすみます。
音楽鑑賞や映画鑑賞のほか、楽器を演奏する音も気兼ねすることなく音を出し、趣味を楽しめるメリットも大きいと言えます。
子どもがピアノの習い事をしているケースでも、時間を気にせずに練習に打ち込めるでしょう。
防音の家であれば子どもの走り回る音や騒ぐ声、赤ちゃんの夜泣きなどが隣家に迷惑をかけていないか心配する必要もありません。
子育て中はなにかと気苦労が多いものですが、第三者の心配まで気にする必要がなくなり、ストレスも緩和されるでしょう。
防音によるデメリット
家を防音にすると次のデメリットがあります。
- ・コストがかかる
- ・部屋に圧迫感が生まれる
6畳ほどの居室に防音工事をすると、工事費用に200万円以上かかるのが一般的です。
防音工事にはさまざまな種類があり、目的によって次の通りに費用負担が異なります。
映画・音楽鑑賞<ピアノ<管楽器<ドラム
低音の響くドラムを楽しみたい場合には、高性能な防音室が必要となり、工事コストもかさむでしょう。
防音室は部屋が狭くなるデメリットもあります。
工事では壁内に防音材を施工しますが、性能を高めるほど厚みが出てしまうためです。
6畳ほどのスペースを防音室にする場合、最終的には5畳ほどの広さになります。
床にも防音対策がされれば天井が低くなるなど、さらに圧迫感を感じる恐れがあるため、余裕ある空間設計が重要です。
家づくりでできる防音対策
防音対策をするときは、次のポイントでのプランニングが必要です。
- ・構造
- ・間取り
- ・設備
それぞれどのような仕様となるのか、効果について解説します。
構造編
鉄筋コンクリート造の建物は、木造よりも高い遮音性があります。
木造の壁の厚みが130~150mmであるのに対し、コンクリート造は150~200mmと厚み増すためです。
コンクリートの密度の高さも同じく、遮音性に優れる要因のひとつです。
40坪の家を建てるとしたら、木造であれば2,000万円が建物本体の建築費用の相場です。
しかし、鉄筋コンクリート造では3,000万円以上が相場です。
鉄筋コンクリート造は建築コストが高いデメリットがありますが、気密性能が高いため省エネ性能に優れています。
また、シロアリ駆除などのメンテナンス費用が抑えられるメリットもあります。
コストが高いのがネックと感じるのなら、建物全体ではなく防音したい部分のみの施工もおすすめです。
間取り編
間取り次第で、防音効果が得られます。
- ・防音したいスペースを家の中央に配置する
- ・防音室を設置する
シアタールームや楽器を演奏する部屋を配置する際には、室外と接しない壁で囲むようにすると防音効果に期待できます。
ペットの鳴き声対策をしたい場合には家の中央に中庭を備え、ペットスペースをつくるのもおすすめです。
防音したいスペースに隣接する部分に廊下や収納スペースを挟むと、普段過ごす空間には音が漏れにくくなるため快適性が増します。
居住空間を中央に配置するのが難しいケースや防音効果の高いスペースがほしいケースでは、防音室をつくるとよいでしょう。
防音室は遮音材として石膏ボードを用い、吸音材としてグラスウールを用いることが多いです。
2つの異なる素材を使用し、防音効果の高い空間を可能にしたのが防音室です。
設備編
住宅設備を備えることで、家の防音対策が可能です。
- ・防音ガラスや二重窓にする
- ・床・壁・天井を二重構造にする
- ・防音ドアにする
- ・遮音フローリングを敷設する
- ・外壁などに防音塗料を塗る
防音ガラスとは2枚以上のガラスでできた窓です。
二重窓の構造と同じく、間に空気層をつくることで音の振動を熱に変換し、音を消失させます。
防音効果をあげたいのなら、二重窓のほうがより防音効果に期待できます。
また、気密性が高まることから、防音対策だけでなく寒さや結露対策としてもおすすめです。
構造体と床にスペースを設けて施工するほか、壁には石膏ボードを備えるなど、外部と干渉する部分を二重構造にすると音の伝わりが軽減されます。
窓と同じ開口部であるドアには、防音ドアを採用するのもよいでしょう。
防音ドアは周囲がゴムパッキンで覆われているため、壁や床との間に隙間ができにくく、音漏れしにくい特徴があります。
床には遮音フローリングを敷設するのも効果的です。
通常のフローリングに比べて弾力性があるため、音を吸収してくれます。
子どもや高齢者が暮らす世帯にも安全性が高いのでおすすめです。
屋根や外壁に防音塗料を施工するのもよいでしょう。
間取りに制限なく防音性を高められるため、デザインの自由度を保ちたい方や費用を抑えたい方にもおすすめです。
まとめ
防音性の高い家にしたいのなら、鉄筋コンクリート造にするほか、防音したいスペースを家の中央に配置したり、防音室をつくったりするなどで対応できます。
防音性能によって家のつくりが異なるため、なぜ防音の家にしたいのかを明確にしてからプランを練っていきましょう。
防音の家は通常の住宅とは違い、コストがかかるなどデメリットもあります。
しかし、外の騒音を気にすることがなくなったり、隣家を気にせずに趣味を楽しめたりとストレスフリーな暮らしを楽しめるでしょう。
防音の家について詳しく知りたければ住宅公園へ
「ピアノを思いっきり楽しみたいから防音室がほしい」、「外の音に邪魔されることなく静かな日々を送りたい」
家づくりに防音性を求めるのなら、まずは住宅のプロに相談することをおすすめします。
住宅公園では、防音の家について住宅のプロに気軽に質問・相談することが可能です。
自分に合ったプランを検討することもできるため、オリジナルな家づくりでとっておきの住空間が実現することでしょう。